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「測量計画は自分で立てられるのに、開発許可や農地転用の申請書類は他の専門家に頼むしかない」。そんなもどかしさを感じたことはありませんか。
測量士は測量に関する計画の作成・実施を担う技術者ですが、測量した土地を宅地開発したり、農地を転用したりする際に必要な官公署への許可申請書類の作成代理は、行政書士の独占業務です。測量の技術を持つ測量士にとって、行政書士は土地活用の川下まで一気通貫で担えるようになる、汎用性の高い資格の一つです。
とはいえ、すでに国家資格を持っているからこそ、次の投資は慎重に判断したいところです。
本記事では、測量士が行政書士を目指すべきかを、業務範囲の違い・試験のハードル・実務でのシナジーという現実的な視点から解説します。
この記事のポイント
- 測量士と行政書士の業務範囲の違いと重なる部分
- 行政書士試験の合格率14.54%という現実と、合格後に実務修習が不要という利点
- 開発許可・農地転用までワンストップ化できる具体的な業務シーン
- 司法書士や土地家屋調査士との優先順位比較
結論|測量士から行政書士を目指すべき人・目指さない方がよい人
結論からお伝えします。行政書士は、測量士にとって取得コストが比較的低く、土地活用に関する業務の幅を広げやすい資格ですが、それでも全員に必要というわけではありません。
目指すべき人の条件
行政書士を目指す価値が高いのは、測量した土地の開発・転用に伴う許可申請まで、自ら一貫して手続きを担いたい人です。
宅地開発や農地転用を伴う測量案件では、測量結果をもとにした開発許可申請・農地転用許可申請が必要になるケースが多くあります。両資格があれば、測量計画の作成から許可申請書類の作成までを一貫して対応でき、顧客との関係を深められます。
目指さない方がよい人の条件
一方で、公共測量・基本測量など測量業務そのものに専念し、開発・転用に伴う許認可への参入予定がない場合は、優先度は下がります。
行政書士の業務は建設業許可・在留資格・会社設立など多岐にわたりますが、これらは実際に依頼が来て初めて価値を持ちます。測量業務の中でも許認可の相談が発生しない環境であれば、行政書士資格を直接活かす機会は限定的です。
測量士と行政書士の業務範囲の違い
両者はどちらも土地活用に関わりますが、関与する場面が異なります。
測量士は「測量計画の作成・実施」の専門家
測量法に基づき、基本測量や公共測量の技術者として従事するには、国土地理院に登録された測量士または測量士補である必要があります。測量士は測量に関する計画を作製し、または実施することができる技術者と位置づけられ、測量業者は営業所ごとに測量士を1人以上置かなければなりません。
参考:国土地理院「測量士及び測量士補登録に関する案内」
行政書士は「官公署への提出書類・許認可」の専門家
対して行政書士は、行政書士法第1条の2に基づき、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業とします。農地転用許可申請、開発許可申請、会社設立時の定款作成などが代表例です。
参考:日本行政書士会連合会「行政書士の業務」
測量士が担うのは土地の物理的な位置・形状を確定させる測量計画の作成・実施であるのに対し、行政書士は測量結果を踏まえて必要となる開発・転用の許認可申請という、法律行為に踏み込んだ独占業務を持つ点が異なります。
試験難易度と登録までの現実
測量士として現場に立つあなたにとって、行政書士試験の難易度と、合格後の負担がどの程度かは気になるところでしょう。
行政書士試験は年1回・筆記のみ
試験は例年11月に実施される筆記試験(法令等科目・一般知識等科目)の1回勝負です。一般財団法人行政書士試験研究センターの発表によれば、令和7年度行政書士試験は50,163人が受験し、合格者は7,292人、合格率は14.54%でした。
参考:一般財団法人行政書士試験研究センター「試験実施結果の推移」
測量士試験(令和7年、受験者3,703人・合格者1,487人・合格率40.2%)と比べると合格率は3分の1程度で、記述式問題もあるため油断できません。
参考:国土地理院「令和7年測量士試験の合格者を発表」(直近公表分)
合格後の実務修習は不要
ここが見落とされがちなポイントです。行政書士は試験合格後、特別な実務修習を経ずに、都道府県の行政書士会に登録すれば開業できます。登録要件は試験合格(またはこれに準じる要件)のみで、実務経験も問われません。
参考:日本行政書士会連合会「行政書士になるには」
まずはプロの講座で試験範囲と学習期間の全体像を把握しましょう。
測量士の知識は行政書士にどこまで活きるか
測量士として培った土地の境界・地目・地積に関する知識は、行政書士試験の「法令上の制限」に近接する分野(都市計画法・農地法・建築基準法等の基礎)で優位性を持ちます。現地測量を通じて土地の実態を把握している点もアドバンテージです。
一方で、行政書士試験の中心科目である民法(総則・物権・債権・親族・相続)、行政法(行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・地方自治法)、会社法(商法)は、測量士試験ではまったく問われない分野です。「土地関連の基礎は有利だが、行政法・民法・会社法は一から仕上げる」という前提で計画を立てるのが現実的です。
ダブルライセンスの実務シナジー
資格を取得した後、実務でどのように売上に結びつくのか。代表的な3つの場面を見ていきましょう。
農地転用を伴う測量案件のワンストップ化
農地を含む土地の測量では、農地転用許可申請(行政書士業務)が必要になるケースが多くあります。測量士として現地調査に関わりながら、関連する許可申請まで自ら手がけられれば、顧客は別の専門家を探す手間なく手続きを完結できます。
宅地開発・都市計画法の開発許可申請への対応
宅地開発を伴う測量案件では、開発許可申請(都市計画法)が必要になります。測量計画の作成と許可申請書類の作成を一貫して担えれば、ディベロッパーや工務店からの受注機会が広がります。
独立開業時の業務の幅を広げる
測量士として独立を考える場合、測量業務だけでなく行政書士業務(開発許可申請支援、農地転用許可申請等)を並行して手がけることで、収益の柱を複数持つ経営が可能になります。
周辺資格を含めて、自分に合った最適なステップアップを検討しましょう。
司法書士・土地家屋調査士と比べてどれを優先すべきか
行政書士だけが選択肢ではありません。目的によっては別の資格の方が直接的なシナジーが高いケースもあります。
相続登記や売買の権利部登記まで扱うなら司法書士
測量後の相続分割や土地売買に伴う所有権移転登記まで自ら完結させたいなら、司法書士という選択肢もあります。ただし試験の難易度・学習期間は行政書士とは比較にならないほど高く、投資規模も大きく異なります。
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▶ 測量士から司法書士を目指すべきか
表示登記まで一気通貫で担うなら土地家屋調査士
境界確定から表示登記の申請代理まで、測量の延長線上で業務を広げたいなら、土地家屋調査士の方が直接的なシナジーは大きくなります。
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測量士が行政書士を目指す判断チェックリスト
ここまで読んで迷っている方は、以下の項目にいくつYESがつくか確認してください。
- 農地を含む土地や、市街化調整区域内の土地の測量を扱うことがある
- 宅地開発に伴う開発許可申請の相談を受けることがある
- 独立・開業を見据え、測量業以外の収益の柱を作りたい
- 半年〜1年程度、行政法・民法という新しい分野の学習時間を確保できる
- 許認可の相談を他士業に紹介するのではなく、自社で完結させたい
YESが3つ以上なら、行政書士の学習を始める価値は十分にあります。
逆にYESが1つ以下の場合は、無理に取得を急がず、まずは既存の測量業務の周辺で行政書士との連携ネットワークを強化する方が、投資対効果としては合理的です。
目指す場合の学習ロードマップ
決断した方は、11月の試験日から逆算して計画を立てましょう。測量業務と並行するため、スケジュール管理が重要です。
- 学習環境の選定:法令上の制限に近い分野は復習中心、行政法・会社法は専門講座で体系立てて学びます。
- 行政法対策:行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・地方自治法を中心に、条文・判例の理解を優先します。
- 民法の学習:総則・物権・債権・親族・相続と、測量士試験で問われなかった範囲を新たに学びます。
- 記述式対策:民法・行政法の記述式は配点が大きいため、過去問演習で答案作成の型を早めに身につけます。
効率よく合格を目指すなら、実績ある講座選びが近道です。
よくある誤解と注意点
最後に、よくある誤解を解いておきます。
「測量士だから行政書士試験も土地に強い分だけ楽だろう」
法令上の制限に近い分野では有利ですが、行政法・民法・会社法・一般知識等科目は独立した対策が必要です。科目数の多さを侮らないようにしましょう。
「登録すればすぐに許認可の依頼が来る」
行政書士業務は分野が非常に広く、農地転用と会社設立ではノウハウも顧客層もまったく異なります。取得後は、測量業の顧客層に合わせて得意分野を絞り込む戦略が必要です。
「測量のデジタル化が進むと資格の意味が薄れるのでは?」
測量機器・手法のデジタル化は進むでしょう。しかし、許認可の要件判断や行政との調整は専門家の役割として残り続けます。むしろ測量と許認可の両方を理解した専門家としての価値は高まると考えられます。
あなたのキャリアに最適な選択を(判断表)
測量士が行政書士を目指すべきかは、あなたが土地活用に関する対応範囲をどこまで広げたいかによって決まります。
| あなたの状況・目的 | 結論 | 代替案・次のアクション |
|---|---|---|
| 開発許可・農地転用まで測量業務の対応範囲を広げたい | 目指すべき | 行政書士講座の比較・資料請求へ進む |
| 相続・売買の権利部登記まで含めてワンストップ化したい | 慎重に検討 | 司法書士の取得を優先する |
| とりあえず何か資格を増やして安心したい | 非推奨 | 既存業務の営業強化・行政書士との関係構築 |
測量士という国家資格を既に持っているからこそ、次の打ち手は冷静に判断する必要があります。本記事が、あなたのキャリアを一段引き上げるための正しい決断の一助となれば幸いです。

