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宅建試験、本当にお疲れ様でした。
長期間の勉強を乗り越え、やっと一息ついている方も多いと思います。
一方で、「せっかく勉強の習慣がついたから、この勢いで次の資格も取りたい!」と考えている方もいるでしょう。
宅建合格後の「次の一手」として、最もよく名前が挙がるのが賃貸不動産経営管理士(賃管士)です。
不動産系のダブルライセンスとして非常に相性が良いと言われています。
でも、ちょっと待ってください。
「宅建の知識が活きるから」「なんだか転職に有利そうだから」というフワッとした理由で、いきなりテキストを買いに行くのは危険です。
実は私自身、宅建に合格した直後、資格スクールの「ダブルライセンスで年収アップ!」という広告を見て、深く考えずに賃管士の教材一式を買い込んだ経験があります。
しかし、当時の私は売買仲介メインの部署にいました。
賃貸管理の知識を現場で使う機会がほとんどなく、「これ、今の自分に本当に必要か?」と勉強中にモチベーションが急低下。結局、目的を見失い、その年は受験を断念して時間とお金を無駄にしてしまいました。
資格取得の判断で一番大事なこと。
それは「今の自分の職種や目的に合っているか」を冷静に見極めることです。
この記事では、宅建士と賃貸不動産経営管理士の違い、試験の難易度比較、そして「実務でのリアルな評価」を公式情報に基づいて包み隠さずお伝えします。
資格スクール目線ではない中立的な視点で、あなたが本当に賃管士を取るべきかどうか、一緒に判断していきましょう。
結論|宅建後に賃貸不動産経営管理士を目指すべき人・不要な人
まずは結論からお伝えします。
万人に共通する「絶対取るべき!」という資格はありません。
あなたの現在の状況や、今後のキャリアプランによって明確に分かれます。
目指すべき人
- 現在、賃貸管理会社で働いている人
- 不動産オーナー向けの営業や、投資用不動産に関わっている人
- 将来的に不動産の管理部門への異動や転職を視野に入れている人
- 「業務管理者」として独立・起業を考えている人
上記に当てはまるなら、迷わず目指す価値があります。
賃貸管理業務の適正化が進む中、管理のプロフェッショナルとしての知識は実務で直結するからです。
オーナーへの提案力も格段に上がり、社内外からの信頼度も増すでしょう。
優先度が低い人
- 売買仲介に特化しており、今後も賃貸管理に関わる予定がない人
- 金融や税務など、資産運用の相談業務をメインにしたい人
- とりあえず「資格マニア」的に何でもいいから資格が欲しいだけの人
売買専門であれば、賃管士よりもFP(ファイナンシャルプランナー)などを優先した方が、実務での相乗効果は高いです。
資格は手段であり、目的ではありません。自分に必要ないと判断したら、勇気を持って「受けない」という選択をするのも正解です。
宅建士と賃貸不動産経営管理士の違い
そもそも、両者はカバーする領域が明確に異なります。
ここを混同していると、「宅建を持っていれば賃貸管理もできる」と勘違いしてしまいます。
宅建士は不動産取引の資格
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の「取引(売買・賃貸の仲介など)」における専門家です。
物件の契約前に、お客様に対して重要事項説明(重説)を行うのが最大の役割。
宅建業法により、重要事項説明や契約書への記名などは、宅建士にしかできない独占業務として定められています。
参考:e-Gov 法令検索(宅建業法)
賃貸不動産経営管理士は賃貸管理の専門資格
一方で賃貸不動産経営管理士は、入居後の「管理」に関する専門家です。
家賃の集金、入居者トラブルの対応、退去時の原状回復、そして建物の維持管理など、契約が成立した後の業務を担います。
賃貸住宅管理業法に基づき、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者には、営業所ごとに「業務管理者」を設置することが義務付けられています。
賃貸不動産経営管理士は、この業務管理者になるための主要な要件の一つです。
参考:国土交通省(賃貸住宅管理業について)
業務管理者になりたいだけなら賃管士取得が必須とは限らない
ここからが、少し複雑ですが非常に重要なポイントです。
実は、法律上の「業務管理者」になるためだけであれば、必ずしも賃貸不動産経営管理士の資格を取得する必要はありません。
ルートは大きく分けて2つ存在します。
賃管士ルート
最も王道なのが、「賃貸不動産経営管理士の資格取得 + 実務経験2年以上」というルートです。
名刺に堂々と「賃貸不動産経営管理士」という国家資格名を記載でき、専門性をアピールできるのが最大のメリットです。
キャリアアップや転職活動において、客観的な評価を得やすいのは間違いなくこちらのルートです。
宅建士+指定講習ルート
もう一つのルートが、「宅建士の資格保有 + 指定講習の修了 + 実務経験2年以上」です。
つまり、すでに宅建士を持っている方なら、指定講習を受けるだけで業務管理者の要件を満たせてしまうのです。
参考:国土交通省(業務管理者について)
「え、じゃあわざわざ賃管士の試験を受けなくてもいいのでは?」
そう思う方もいるでしょう。
事実として、自社内で要件を満たすだけであれば、指定講習ルートで十分なケースもあります。
しかし、指定講習を受けたからといって「賃貸不動産経営管理士」を名乗れるわけではありません。
対外的なアピール力(オーナーからの信頼や転職時の評価)を重視するか、単に社内の法定要件を満たすコストパフォーマンスを重視するかで、選ぶべき道が変わります。
宅建士なら賃貸不動産経営管理士試験は免除される?
ネット上の情報を見ていると、「宅建士を持っていると試験が免除される」といった噂を目にすることがあります。
これについては、明確に誤解を解いておく必要があります。
宅建士だから試験免除ではない
結論から言うと、宅建士の資格を持っているだけで賃貸不動産経営管理士の試験問題が免除される制度はありません。
先ほど解説した「指定講習」の話と混同されがちなので注意してください。
宅建士であっても、賃管士の資格を取得したければ、原則として全50問の試験を一般受験生と同じように解く必要があります。
5問免除講習は誰でも受講可能
試験の一部が免除される制度として「5問免除講習」というものがあります。
これは、所定の講習(事前学習+1日講習)を受講することで、本試験50問のうち5問が免除されるという制度です。
この講習は宅建士の資格の有無に関わらず、要件を満たせば誰でも受講可能です。
免除の有効期間は「修了年度と翌年度」の2回。
確実に合格を狙うなら、この5問免除は絶対に活用すべき強力なアドバンテージです。
参考:賃貸不動産経営管理士協議会(講習について)
難易度・合格率・勉強時間の比較
気になる難易度についても、最新の公式データから見ていきましょう。
宅建士の最新合格率
令和7年度の宅建試験の結果は以下の通りです。
- 受験者数:245,462人
- 合格者数:45,821人
- 合格率:18.7%
依然として合格率15〜18%前後で推移しており、国家資格の中でも難関の部類に入ります。
参考:不動産適正取引推進機構(令和7年度試験結果)
賃貸不動産経営管理士の最新合格率
一方、令和7年度の賃貸不動産経営管理士の試験結果は以下の通りです。
- 合格基準:50問中38問以上正解(5問免除者は45問中33問以上)
- 合格者数:9,370名
- 合格率:29.5%
宅建に比べると合格率は高めです。
しかし、約7割の人が落ちる試験であり、「片手間で誰でも受かる」ほど甘い試験ではありません。
参考:PR TIMES(令和7年度試験結果発表)
宅建経験者が有利な分野・注意すべき分野
宅建合格者が賃管士を受ける最大のメリットは、学習の貯金があることです。
民法や借地借家法など、権利関係の知識はそのまま賃管士の試験でも使えます。
スタートダッシュの時点で、他の受験生より何歩もリードしている状態です。
ただし、注意すべき分野もあります。
それは「賃貸住宅管理業法」や、建物の設備、原状回復のガイドラインといった管理特有の実務知識です。
この部分は宅建では深く学ばないため、新たにしっかり暗記し直す必要があります。
「宅建と範囲が同じだから余裕」と油断すると、足元をすくわれます。
実務で役立つ場面
資格を取った後、現場でどう役立つのかをイメージしてみましょう。
賃貸管理会社
ここで働くなら、間違いなく最も評価される資格です。
家主との管理受託契約や、サブリース契約に関する深い知識が得られるため、業務の質が根本から変わります。
会社によっては資格手当が支給されたり、昇格の条件になっているケースも多いため、直接的なリターン(年収アップ等)が得やすい環境です。
売買仲介・投資用不動産
「売買には関係ない」と思われがちですが、投資用不動産(収益物件)を扱う場合は別です。
投資家への営業において、「買ってもらった後の管理運営(ランニングコストや修繕リスク)」まで見据えた提案ができるようになります。
単なる「売るだけの人」から「経営のパートナー」へと、顧客からの信頼度が一段階上がります。
未経験転職
宅建と賃管士のダブルライセンスがあれば、未経験からの不動産業界転職において強力な武器になります。
ただし、過度な期待は禁物です。
資格だけで転職が100%確約されるわけではなく、企業側は「実務適性」や「コミュニケーション能力」も重視します。
面接では「なぜこの資格を取ろうと思ったのか」という意欲を伝える材料としてフル活用しましょう。
他資格と比較|FP・管理業務主任者・マンション管理士
宅建後のステップアップとして、他の資格と迷っている方も多いでしょう。
簡単に優先順位を整理します。
| 比較資格 | 特徴とおすすめな人 |
|---|---|
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 税金、相続、資金計画など幅広く学ぶ。売買仲介や住宅ローン提案を強化したい人向け。 |
| 管理業務主任者 | 分譲マンションの管理組合対応がメイン。マンション管理会社へ就職・転職したい人向け。 |
| マンション管理士 | 独立型コンサルタント資格。難易度が非常に高く、中長期的な独立を見据える人向け。 |
ご自身の進みたいキャリアに合わせて、最適なものを選んでください。
宅建後に目指す場合の学習スケジュール
宅建の試験は例年10月。
そして賃貸不動産経営管理士の試験は例年11月中旬です。
もし、宅建の自己採点で合格の見込みが立ち、「そのまま今年の11月に賃管士も受けよう!」という場合、残された期間は約1か月しかありません。
宅建の貯金があるとはいえ、初学者なら100時間程度は必要と言われる試験です。
1か月の短期決戦で挑むなら、無駄を一切省いた学習計画と、効率的な教材選びが絶対条件になります。
無理をしてダブル受験に失敗するくらいなら、来年の試験に照準を合わせ、早めに5問免除講習を申し込んで確実に取りに行くのも賢い戦略です。
独学か講座かの判断基準
学習方法で迷う方も多いですよね。
宅建合格レベルの学習習慣と基礎知識がある方なら、市販の公式テキストと過去問題集を使った独学でも十分に合格可能です。
しかし、以下のような方は通信講座の利用を強くおすすめします。
宅建後1か月で狙う場合
期間が短い場合、市販の分厚いテキストを最初から読んでいる暇はありません。
「宅建経験者向け」に重複範囲をカットし、賃管士特有の管理実務や法改正ポイントだけを凝縮した短期講座を利用するのが最も確実です。
プロがカリキュラムを組んでくれるため、学習の迷いがなくなり時間を丸で買うような効果があります。
5問免除講習と教材
来年の合格を狙う方で独学を選ぶ場合でも、最新の公式テキストを使うことは必須です。
法改正が頻繁にある領域なので、古いメルカリ等の過去問は絶対に避けてください。
また、5問免除講習は定員が埋まりやすいため、実施団体の案内が始まったら早めに申し込みを済ませましょう。
よくある誤解・反論
ネット上には「賃貸不動産経営管理士は意味ない」「需要がない」というネガティブな声もあります。
なぜそんな意見が出るのでしょうか?
理由はシンプルで、「取るべきではない職種の人が取ってしまったから」です。
先ほど述べたように、売買専門の営業マンが賃管士を取得しても、日々の業務で活かす機会はありません。「せっかく取ったのに意味がなかった」と感じるのは当然です。
しかし、賃貸管理の現場やオーナー営業においては、これほど実務に直結し、信頼を担保してくれる資格はありません。
資格の価値は、誰が、どこで使うかによって180度変わります。
外野の無責任な声に流されず、あなたの仕事に役立つかどうかで判断してください。
最終判断チェックリスト
最後に、あなたが賃管士を目指すべきかのチェックリストです。
以下のうち、1つでも当てはまるなら、今すぐ勉強を始める価値があります。
- 賃貸管理部門への異動や、管理会社への転職を有利に進めたい
- 投資用不動産のオーナーに対して、より深い提案ができるようになりたい
- 社内の要件満たしだけでなく、名刺に書ける「国家資格」として信頼を得たい
- 宅建で身につけた民法の知識を忘れないうちに、もう一つ武器を増やしたい
宅建合格という大きな山を越えたあなたなら、正しい方向性で努力すれば必ず結果はついてきます。
もし「自分に必要だ!」と感じたなら、宅建の知識が頭に残っている今のうちに、早速次の一歩を踏み出してみましょう。

