❕本ページはPRが含まれております
「せっかく行政書士の資格を取っても、仕事がなくて食べていけないんじゃないか?」
会社を辞めて独立したい、あるいは副業から始めて将来は自分の事務所を持ちたい。そう考えて行政書士試験の勉強を始めようとした矢先、ネットで「行政書士 やめとけ」「食えない」といった言葉を見て、不安になっているのではないでしょうか。
結論から言いましょう。
資格を取るだけで自動的にお金が入ってくるほど、甘い世界ではありません。
しかし、それは「行政書士という仕事に価値がない」ということでは決してありません。失敗する人には明確な理由があり、成功する人にはしっかりとした「事業設計」があります。
本記事では、30代・40代から資格取得を目指す方が、都合の良い成功談や過剰な不安に振り回されないよう、公式データをもとに「食えないと言われる本当の理由」と「食える側に入るための条件」を本音で解説します。
行政書士だけでは食えない?結論は「資格だけでは厳しいが、事業設計次第」
ネット上の「食えない」という言葉には、実は様々なニュアンスが混ざっています。ここを整理しておかないと、正しい判断はできません。
「行政書士だけ」の4つの意味
「行政書士だけでは厳しい」と言われるとき、そこには以下の4つの意味が含まれています。
- 資格単体:「資格を持っている」という事実だけで、実務経験や専門知識がない状態。
- 専業:会社員としての給与や他の収入源がなく、行政書士の売上のみで生活している状態。
- 他資格なし:社労士や司法書士、宅建などのダブルライセンスを持たない状態。
- 営業なし:待っていれば仕事が来ると思い込み、自分から顧客を獲得する仕組みを持っていない状態。
特に危険なのは「資格さえあれば、あとは何とかなる」という勘違いです。
参考:行政書士法(e-Gov法令検索)
法律で定められた独占業務は確かに存在します。しかし、それをお金に変えるための「集客」や「営業」がなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
食える・食えないの判断基準
「食える」とは一体いくら稼げれば良いのでしょうか。ここも人によって曖昧です。
売上と所得(手取り)は違います。行政書士の報酬は各自が自由に定めることができますが、同じ業務でも事務所によって報酬額には大きな差があります。
出典:報酬額統計調査(日本行政書士会連合会)
例えば「月商50万円」でも、広告費や家賃、システム代などで経費が30万円かかっていれば、手元に残る所得は20万円です。ご自身の毎月の「最低限必要な生活費」がいくらなのかを把握することが、独立への第一歩になります。
行政書士が食えないと言われる主な理由
では、なぜ「食えない」という声がこれほどまでに多いのでしょうか。決して精神論ではなく、構造的な理由があります。以下の表にまとめました。
| 理由 | 発生原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 集客不足 | 資格取得と営業スキルの乖離 | Web集客・紹介導線の構築 |
| 単発案件ばかり | スポット業務に依存している | 顧問契約や継続業務の開拓 |
| 単価が低すぎる | 競合との安売り合戦に巻き込まれる | 専門特化による付加価値の提供 |
資格を取っても仕事は自動では来ない
行政書士試験の令和6年度の合格者は約6千人です。
参考:試験結果の推移(行政書士試験研究センター)
毎年これだけ多くの人が資格を手にしています。その中で事務所を開業するということは、一人の「小規模事業者(経営者)」になるということです。
中小企業白書によれば、小規模事業者の休廃業比率は非常に高い現実があります。看板を掲げただけで行列ができるのは、よほどの著名人だけです。みずから市場にアピールする力が必須となります。
出典:中小企業白書(中小企業庁)
業務範囲が広すぎて専門性がぼやける
行政書士の作成できる書類は数千種類とも言われます。しかし「なんでもやります」という看板は、裏を返せば「何が強みかわからない」ということです。
建設業許可、入管業務、相続、補助金など、領域によって必要な知識や顧客層は全く異なります。専門性がぼやけると、お客様からは「なぜあなたに頼むべきなのか」が見えなくなり、依頼に繋がりません。
単発案件が多く収入が安定しにくい
税理士や社労士と比べ、行政書士の業務は「許可が下りたら終わり」というスポット(単発)案件になりがちです。
毎月ゼロから新規顧客を探し続けるのは、精神的にも体力的にも非常にハードです。事業を安定させるためには、許認可の更新手続きや、顧問契約といった「継続案件」の仕組みをいかに作るかがカギになります。
安売りで疲弊しやすい
実績のない開業当初は、つい価格を安くして仕事を取ろうとしてしまいます。
しかし、安売りは自分の首を絞めるだけです。
安い報酬で大量の案件を抱え込むと、書類作成に追われて新たな営業活動ができなくなります。結果として、忙しいのに手元にお金が残らないという「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。
AIで定型業務の価値が下がる可能性
「AIに仕事が奪われる」というニュースを見て不安に思う方も多いでしょう。
ある研究では、日本の労働人口の約半分が技術的にAIなどで代替可能であると試算されています。
参考:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(NRI)
確かに、単なる「定型書類の代書」は今後AIによって効率化され、価値が下がるでしょう。しかし、顧客の複雑な悩みを聞き出し、どの制度が最適かを判断し、交渉や調整を行う「コンサルティング部分」は、人間にしかできません。AIは脅威ではなく、使いこなすべきツールです。
行政書士で食える人・食えない人の違い
ここで少し、私の身近な経験談をお話しさせてください。
私の知人に、行政書士試験に合格後、勢いだけで会社を辞めて独立した人がいました。最初の半年間は、なんと問い合わせがゼロ。焦って異業種交流会に通い詰めましたが、ただの名刺交換で終わり、全く仕事に繋がりませんでした。
貯金が底をつきかけた時、彼は前職のIT知識を活かし、「IT系補助金や特殊な許認可」に特化した専門ホームページを作りました。すると、同業者からの紹介やWeb経由での相談が急増し、一気に軌道に乗ったのです。
この経験からわかる、食える人と食えない人の違いを明確にしておきましょう。
| 項目 | 食える人(勝ち組) | 食えない人(負け組) |
|---|---|---|
| 専門性 | 「〇〇専門」と絞り込んでいる | 「何でもやります」とアピール |
| 集客方法 | Webと紹介の導線を作っている | 看板を出して待っているだけ |
| 価格設定 | 付加価値をつけ適正価格を提示 | 相場より安くして受注しようとする |
食える人の共通点
食える人は、自分が「法律家」であると同時に「経営者」であることを自覚しています。専門分野を絞り込み、ターゲットとなる顧客に向けて的確にWeb集客を行います。また、他士業(税理士や司法書士など)と連携し、お互いに仕事を紹介し合うネットワークを構築しています。
食えない人の共通点
一方で食えない人は、「資格を取れば国が仕事を与えてくれる」「先生と呼ばれて尊敬される」という受け身の姿勢が抜けません。無計画に独立し、仕事がないからと安売りに走り、最終的に資金繰りに行き詰まってしまいます。
行政書士の収入を考えるときの注意点
独立を考える際、一番気になるのが「いくら稼げるのか」というお金の話ですよね。ネット上には様々な年収データが転がっていますが、鵜呑みにするのは危険です。
平均年収データは参考値にすぎない
人材紹介会社の調査などでは、行政書士有資格者の平均年収が「500万円台」と発表されることがあります。
参考:行政書士の平均年収調査(PR TIMES)
しかし、これはあくまで特定のサービスに登録している人のアンケート結果や一部のサンプルに過ぎません。トップクラスで何千万円と稼ぐ人が平均を引き上げている一方で、ほとんど稼げていない層も存在します。収入差が非常に大きいのが実態です。
会社員平均給与との比較は慎重に
国税庁の調査によると、会社員の平均給与は約478万円です。
出典:令和5年分 民間給与実態統計調査(国税庁)
これと行政書士の売上を単純比較してはいけません。会社員の給与は、税金や保険料が引かれる前の「額面」です。一方、個人事業主の売上からは、家賃やシステム代、交通費などの「経費」を差し引かなければなりません。
売上が500万円あっても、経費が200万円かかれば、残る所得は300万円です。そこからさらに国民健康保険や年金を払うことになります。
生活費から逆算する必要案件数
では、現実的に考えてみましょう。「毎月これだけは絶対に必要な生活費」から逆算して、月に何件の仕事を獲得すれば良いのでしょうか。
| 目標所得(月額) | 平均顧客単価 | 必要な月間受注件数 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 5万円 | 6件+経費分(約8〜9件) | 単価が低いと数をこなす必要あり |
| 30万円 | 15万円 | 2件+経費分(約3件) | 専門知識と高い営業力が必須 |
月30万円必要な場合の案件数
もしあなたの生活費が月30万円必要だとします。事務所の経費(通信費、交通費、会費など)が月10万円かかると仮定すると、目標売上は月40万円です。
1件あたりの単価が5万円の仕事なら、毎月8件の新規獲得が必要です。
毎月8人の新しいお客様をゼロから見つけるのは、開業当初は至難の業です。
高単価業務と低単価業務の違い
だからこそ、業務選定が重要になります。日行連の統計でも明らかなように、数万円の書類作成業務から、数十万円の許認可・補助金サポートまで、単価はピンキリです。
初心者は入りやすい低単価業務に流れがちですが、それでは薄利多売で疲弊します。時間をかけてでも、高単価で継続性のある業務(例えば法人設立からの許認可一式や、建設業の決算変更届など)のスキルを身につけるべきです。
開業前に準備すべきこと
いきなり会社を辞めて背水の陣を敷くのは、リスクが高すぎます。資格取得の勉強と並行して、あるいは合格後に登録をする前に、以下の準備を進めてください。
専門分野を1つ決める
まずは「地域 × 業種 × 手続き」で自分の土俵を決めましょう。
例えば「〇〇市の建設業向け・許可申請特化」といった具合です。前職での経験(不動産業界、IT業界、総務・法務など)があれば、それをそのまま専門分野の強みにできます。
集客導線を作る
専門分野が決まったら、それを見つけてもらうための導線を作ります。
具体的には、専門特化したホームページの制作、SNSでの情報発信、あるいは地元の商工会議所や他士業への挨拶回りです。これらは看板を掲げる前から準備が可能です。
士業専門のホームページ制作や集客ノウハウを事前に学んでおくことは、開業後の大きなアドバンテージになります。
生活防衛資金を用意する
事業が軌道に乗るまでには時間がかかります。売上がゼロでも生きていけるよう、最低でも生活費の6ヶ月分、できれば「12ヶ月分」の生活防衛資金を確保しておきましょう。お金の余裕は、心の余裕に直結します。
副業・兼業・ダブルライセンスは必要か
独立への不安を減らすための手段として、副業やダブルライセンスを検討する方も多いでしょう。
副業から始めるメリット
会社員の給与というセーフティネットを持ったまま、週末や平日の夜を利用して行政書士業務を行うのは、非常に賢い安全策です。(※ただし、勤務先の副業規定は必ず確認してください)。
副業で小さくテストマーケティングを行い、集客の感覚を掴み、「これなら本業にできる」と確信できたタイミングで専業に切り替える。これが最も失敗の少ないルートです。
副業から小さく始める場合でも、確定申告や売上管理は必須です。使いやすいクラウド会計ソフトを導入しておきましょう。
ダブルライセンスが有効なケース
「行政書士だけじゃ不安だから、宅建や社労士も取ろう」と考える人は多いですが、ちょっと待ってください。
資格をいくつ持っても、集客の仕組みがなければ顧客は来ません。「資格コレクター」になるのは本末転倒です。
ダブルライセンスが活きるのは、「すでに不動産業界の顧客がいるから宅建を組み合わせる」「労務相談が多いから社労士を取る」というように、ビジネス上の明確な導線がある場合のみです。
行政書士を目指すべき人・やめた方がよい人
ここまで厳しい現実をお伝えしてきました。最後に、あなたが本当に行政書士を目指すべきかどうかを判断してください。
❌ やめた方がよい人
- 資格さえ取れば国や協会が仕事をくれると思っている人
- 人と話すのが極端に苦手で、机に向かうだけの仕事をしたい人
- 最初から数千万円の年収が「自動的に」約束されていると思っている人
⭕️ 目指すべき人
- 「法律家」であると同時に「経営者」として事業を作っていく覚悟がある人
- これまでの社会人経験(営業、法務、業界知識など)を専門分野に活かせる人
- 顧客の悩みに寄り添い、解決策を提案することに喜びを感じる人
もしあなたが後者に当てはまるなら、行政書士は間違いなく人生の選択肢を広げる強力な武器になります。会社に依存しない収入源を作り、定年を気にせず一生の仕事にできる魅力は、他の何にも代えがたいものです。
まずは、自分に合った学習計画を立てることから始めましょう。いきなり退職する前に、働きながら効率よく合格を目指せる通信講座を活用するのが鉄則です。
まとめ用素材:判断チェックリスト
最後に、行政書士で「食える側」に入るための判断チェックリストをまとめました。学習を開始する前、あるいは開業届を出す前に、必ず見直してみてください。
- 毎月の最低限必要な生活費と経費の合計額を把握しているか?
- その金額を稼ぐために必要な「受注件数」と「単価」のイメージがあるか?
- 誰に何を売るのか?(専門分野・ターゲット)が明確か?
- どうやって見つけてもらうか?(Webサイト、SNS、紹介ルート)の導線があるか?
- 万が一売上が立たなくても耐えられる「生活防衛資金」は準備できているか?
- いきなり専業になるのではなく、副業や勤務しながらの準備を検討したか?
行政書士は「食えない」わけではありません。正しく準備し、正しく行動した人だけが「食える」世界です。この記事が、あなたの第一歩を踏み出すための冷静な判断材料になれば幸いです。

