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「分譲マンションの管理組合には強いが、賃貸物件のオーナーからの相談には応えられない」
マンション管理士として活動する中で、そんなもどかしさを感じたことはありませんか。マンション管理士は分譲マンションの管理組合側に立つ専門家で、賃貸物件の管理受託業務は業務範囲の外にあります。
その受け皿となるのが賃貸不動産経営管理士です。マンション管理士と賃貸不動産経営管理士のダブルライセンスは、分譲・賃貸の両方の管理受託に対応できる組み合わせとして知られています。
とはいえ、資格を増やす以上、費用と学習時間に見合うリターンがあるかは冷静に見極めたいところです。
本記事では、マンション管理士が賃貸不動産経営管理士を目指すべきかを、業務範囲の違い・試験のハードル・実務でのシナジーという現実的な視点から解説します。
この記事のポイント
- マンション管理士と賃貸不動産経営管理士の業務範囲の違いと重なる部分
- 賃貸不動産経営管理士試験の合格率29.5%という現実と、合格後は登録のみで名乗れる手軽さ
- 分譲・賃貸の両方の管理受託をワンストップ化できる具体的な業務シーン
- 管理業務主任者や宅建士との優先順位比較
結論|マンション管理士から賃貸不動産経営管理士を目指すべき人・目指さない方がよい人
結論からお伝えします。賃貸不動産経営管理士は、マンション管理士にとって合格しやすく登録の負担も軽い資格ですが、それでも全員に必要というわけではありません。
目指すべき人の条件
賃貸不動産経営管理士を目指す価値が高いのは、分譲マンションの管理受託にとどまらず、賃貸物件の管理受託事業にも関わりたい人です。
賃貸管理業者には、一定の事業所ごとに「業務管理者」の設置が義務付けられています。賃貸不動産経営管理士の資格があれば、この業務管理者になれるため、分譲・賃貸を問わず管理受託を手掛ける総合管理会社にとって欠かせない人材になれます。
目指さない方がよい人の条件
一方で、分譲マンションの管理組合コンサルティングに専念しており、賃貸物件との接点がほとんどない場合は、優先度は下がります。
賃貸不動産経営管理士にはマンション管理士と同様、法定の独占業務はありません。所属先や自社が賃貸管理業を営んでいなければ、資格を取っても実務で使う機会が乏しい可能性があります。
マンション管理士と賃貸不動産経営管理士の業務範囲の違い
両者はどちらも建物の管理に関わりますが、対象となる物件の性質が異なります。
マンション管理士は「分譲マンションの管理組合側」に立つ専門家
マンション管理士は、マンション管理適正化法に基づき、分譲マンションの管理組合の運営や管理規約の作成・改正、長期修繕計画の策定について助言・指導を行う専門家です。区分所有者で構成される管理組合の立場からコンサルティングを行い、法定の独占業務はなく名称独占資格とされています。
参考:STUDYing「マンション管理士に独占業務はある?仕事内容とは?」
賃貸不動産経営管理士は「賃貸物件の管理受託」を担う専門家
対して賃貸不動産経営管理士は、2021年に国家資格となった資格で、市場調査から賃貸用建物の企画提案、管理受託契約の締結、入居者募集、入居後のトラブル対応、退去時の原状回復・敷金精算まで幅広く扱います。独占業務はありませんが、賃貸管理業者に設置が義務付けられる「業務管理者」になれる点が重要です。
参考:STUDYing「賃貸不動産経営管理士の業務、独占業務はある?」
分譲マンションの「管理組合運営」を扱うのがマンション管理士なら、賃貸物件の「管理受託」を扱うのが賃貸不動産経営管理士です。物件の所有形態が異なるだけで、どちらも建物を良好な状態に保つための管理の専門家という点は共通しています。
試験難易度と登録までの現実
マンション管理士試験を突破したあなたにとって、賃貸不動産経営管理士試験の難易度と、合格後の負担がどの程度かは気になるところでしょう。
賃貸不動産経営管理士試験は合格率29.5%
試験は例年11月に実施される50問のマークシート式です。STUDYingの発表によれば、令和7年度賃貸不動産経営管理士試験は31,792人が受験し、合格者は9,370人、合格率は29.5%でした(合格基準は50問中38問以上)。
参考:STUDYing「令和7年度(2025年度)賃貸不動産経営管理士試験 合格点は38点、合格率は29.5%!」
あなたが突破したマンション管理士試験(令和7年度合格率11.0%)と比べると合格率は高く、区分所有法の一部知識は共通するものの、賃貸借契約・賃貸住宅管理業法は新たに学ぶ必要があります。
登録は試験合格+登録手数料の納付のみ
ここはマンション管理士登録と似た構造です。賃貸不動産経営管理士は、宅建士や管理業務主任者と異なり、実務経験や登録実務講習が登録要件とされていません。試験に合格すれば、登録手数料を納付する手続きのみで賃貸不動産経営管理士を名乗ることができます。
参考:STUDYing「賃貸不動産経営管理士ルートと宅建士ルート、業務管理者になるにはどちらがいい?」
マンション管理士登録と同じく、合格から資格取得までのリードタイムが短い点は、忙しい実務家にとって取り組みやすい要素です。
まずはプロの講座で試験範囲と学習期間の全体像を把握しましょう。
マンション管理士の知識は賃貸不動産経営管理士にどこまで活きるか
マンション管理士の知識は、賃貸不動産経営管理士試験の「区分所有法」「建物設備・修繕計画に関する考え方」で一定のアドバンテージになります。長期修繕計画の考え方など、建物を長期的に維持するための視点は共通する部分があります。
一方で、賃貸不動産経営管理士試験特有の「賃貸住宅管理業法」「借地借家法」「原状回復・敷金精算のガイドライン」は、マンション管理士試験ではほとんど問われない分野です。「建物管理の視点は活きるが、賃貸借契約・管理業法は一から学ぶ」という前提で計画を立てるのが現実的です。
ダブルライセンスの実務シナジー
資格を取得した後、実務でどのように売上に結びつくのか。代表的な3つの場面を見ていきましょう。
分譲・賃貸の両方に対応する総合管理会社としての事業拡大
分譲マンションの管理組合コンサルティング(マンション管理士業務)に加え、賃貸物件の管理受託(賃貸不動産経営管理士業務)も手掛けられれば、物件の所有形態を問わず相談を受けられる管理会社として事業の幅を広げられます。
投資用マンションオーナーへの一気通貫アドバイス
投資用マンションを所有するオーナーに対し、管理組合の運営状況の分析(マンション管理士業務)と、賃貸経営・入居者管理の実務(賃貸不動産経営管理士業務)の両面から助言できれば、他の管理会社にはない専門性の高い提案が可能になります。
賃貸管理事業への新規参入における業務管理者の確保
賃貸管理業者としての登録・運営には業務管理者の設置が必須です。マンション管理士の実績に加えて賃貸不動産経営管理士の資格を持つ人材は、賃貸管理事業への新規参入を検討する管理会社にとって貴重な戦力になります。
周辺資格を含めて、自分に合った最適なステップアップを検討しましょう。
管理業務主任者・宅建士と比べてどれを優先すべきか
賃貸不動産経営管理士だけが選択肢ではありません。目的によっては別の資格の方が直接的なシナジーが高いケースもあります。
管理会社との協業なら管理業務主任者も検討
マンション管理会社との協業や、管理会社側の実務にも関わりたいなら、管理業務主任者の方が直接的です。出題範囲の重複も多く、比較的取り組みやすい試験です。
関連記事▶
マンション管理士から管理業務主任者を目指すべきか
物件の売買・仲介まで広げるなら宅建士
区分所有権の売買・賃貸の契約実務そのものに関わりたいなら、宅建士という選択肢もあります。管理受託業務とは異なる取引実務のスキルが必要になります。
関連記事▶
マンション管理士から宅建士を目指すべきか
マンション管理士が賃貸不動産経営管理士を目指す判断チェックリスト
ここまで読んで迷っている方は、以下の項目にいくつYESがつくか確認してください。
- 分譲マンションの管理受託に加えて、賃貸物件の管理受託にも事業を広げたい
- 所属する会社・自社が賃貸管理業を営んでいる、または今後展開する予定がある
- 投資用マンションオーナーに管理組合運営と賃貸経営の両面から助言したい
- 2〜3カ月程度、賃貸住宅管理業法・借地借家法の学習時間を確保できる
- 賃貸管理業者の業務管理者という役割に魅力を感じる
YESが3つ以上なら、賃貸不動産経営管理士の学習を始める価値は十分にあります。
逆にYESが1つ以下の場合は、無理に取得を急がず、まずは既存の分譲マンション管理業務に専念する方が、投資対効果としては合理的です。
目指す場合の学習ロードマップ
決断した方は、11月の試験日から逆算して計画を立てましょう。マンション管理士業務と並行するため、スケジュール管理が重要です。
- 学習環境の選定:区分所有法・建物設備の知識は復習中心、賃貸住宅管理業法・借地借家法は専門講座で体系立てて学びます。
- 賃貸借契約実務の理解:マンション管理士試験では扱わない契約実務の分野を重点的に学びます。
- 原状回復・敷金精算の整理:ガイドラインに基づく実務的な論点を過去問演習で仕上げます。
- 登録手続きの準備:合格後は実務経験・講習不要のため、そのまま登録手続きへ進みます。
効率よく合格を目指すなら、実績ある講座選びが近道です。
よくある誤解と注意点
最後に、よくある誤解を解いておきます。
「マンション管理士だから賃貸不動産経営管理士も似たようなものだろう」
建物管理の視点は共通しますが、賃貸借契約・原状回復・敷金精算など、賃貸不動産経営管理士特有の分野は独立した対策が必要です。油断すると取りこぼします。
「独占業務がないから意味がない資格では?」
独占業務はありませんが、賃貸管理業者に必須の業務管理者という役割を担える点、賃貸管理業界での専門性を証明できる点に価値があります。
「賃貸管理のIT化が進むと資格の意味が薄れるのでは?」
入居者対応システムの導入は進んでいますが、トラブル対応や原状回復の判断は専門知識が必要な領域として残り続けます。むしろ分譲・賃貸の両方を理解した専門家としての価値は高まると考えられます。
あなたのキャリアに最適な選択を(判断表)
マンション管理士が賃貸不動産経営管理士を目指すべきかは、あなたが賃貸物件の管理受託にどこまで関わりたいかによって決まります。
| あなたの状況・目的 | 結論 | 代替案・次のアクション |
|---|---|---|
| 分譲・賃貸の両方の管理受託に事業を広げたい | 目指すべき | 賃貸不動産経営管理士講座の比較・資料請求へ進む |
| 管理会社との協業・管理会社側の実務に関わりたい | 慎重に検討 | 管理業務主任者の取得を優先する |
| とりあえず何か資格を増やして安心したい | 非推奨 | 既存業務の営業強化・賃貸管理会社との関係構築 |
マンション管理士という資格を既に持っているからこそ、次の打ち手は冷静に判断する必要があります。本記事が、あなたのキャリアを一段引き上げるための正しい決断の一助となれば幸いです。

